40年前のスーパービジョン
2025/01/26
こんばんは!
1月も終わりに近づいてきました。
なんとなく、陽の光が明るくなってきているように感じます。
それにしても2025年がもう1か月終わりって早いですね。
今日はかなり砕けた話なので夜に書いています。
1月24日の主任ケアマネ研修5日目のスーパービジョンの講義を聞いていて、これってスーパービジョンだよな、と思いだした場面があります。
1985年に放送していたアニメ「機動戦士Zガンダム」(機動戦士ガンダムの続編)のある場面です。
私が書きたいから書いている話なので興味ない方、アニメ嫌いな方は飛ばしてください。
「機動戦士Zガンダム」の20話「灼熱の脱出」※アマプラで視聴可 という回で、物語の前半最大の見せ場で神回と言われています。
機動戦士Zガンダムの主人公の高校生「カミーユ・ビダン」(1枚目右の少年)は17歳の中性的な容姿の美男子ですが、自分の名前が女の子のようなことがコンプレックスです。
コンプレックスの克服のために高校ではロボットを操縦したり、空手を習ったりしています。
第一話では空港で軍の若い士官に「カミーユって女みたいな名前だな。」とからかわれ、それにキレて士官を殴り投獄されています。
若さもありの不安定さ、未熟さが見られるちょっと怖い感じのする若者でした。
戦争に巻き込まれガンダムMk-Ⅱ(全高15.5mの人型の兵器)に乗り地球連邦軍と戦うようになります。
宇宙から地球へ転戦するうちに、香港で「フォウ・ムラサメ」(1枚目左の女性)という20歳前後の女性と出会い恋に落ちます。
「フォウ」は実はカミーユの敵側の強化された人間で、その際に以前の記憶を失っています。
そのためフォウは本当の自分の名前を知りたいと思っています。
強化人間にされたせいで定期的に頭痛がおこり、鎮痛剤のような薬物を飲んでいて精神的にも不安定な女性です。
フォウという名前は実は4という意味で、ムラサメ研究所の4番目の強化人間という意味で、当然フォウはそのコードネームのような名前が嫌いです。
フォウは失った記憶を返すことを条件に、サイコガンダム(全高40mの人型の兵器)に乗りカミーユと戦うことになります。
カミーユは好きなフォウと戦いたくない。
フォウは記憶を取り戻したいのと、カミーユと戦いたくない気持ちから精神的に不安定になり乗っているサイコガンダムで香港で破壊行為を行います。
ここまでがあらすじです。
戦いの中で二人は話をします。
カミーユ「フォウ、僕は君に言い残している事がある。」
フォウ「何?私に?」
カミーユ「僕の両親の事だ、僕の両親は戦いに巻き込まれて死んだんだ、僕の目の前で。」
カミーユ「僕はサイド7に住んでいた。そこの高校に通っていたんだ。父はモビルスーツの設計者だった。ガンダムMk-Ⅱだって父が設計をした。母だって材料工学の専門家でガンダムMk-Ⅱの開発に協力をしていた。」
カミーユ「父には愛人がいた、母はそれを知っていたけど何も言わなかった、何故だと思う?」
フォウ「何故?」
真剣にカミーユの言葉にフォウは耳を傾けます。
カミーユ「仕事が面白かったのさ・・幼馴染の子が母親代わりに僕に言うんだよね、爪を噛む癖をやめなさいカミーユって、いつもだ、カミーユやめなさいって、僕にはそれが嫌だった。」
カミーユ「だってさ、カミーユってのは女の子の名前だ、大っ嫌いだったよ..ずっと。」
フォウ「それで?」
フォウは優し気な瞳でカミーユを見つめます。
カミーユ「そう、だから、僕は空手をやった、モビルスーツを作ったりもした。男の証明を手に入れたかったんだ。」
フォウ「カミーユ...」
カミーユ「俺は...何を喋っているんだ。」
カミーユは身を震わし涙を流します。
カミーユ「フォウ、俺、何でこんな事を...。」
フォウ「カミーユ、もう一度だけ聞いていい? 今でもカミーユって名前嫌い?」
カミーユ「好きさ、自分の名前だもの。」
フォウ「そう...。」
フォウはそう言って戦いをやめ、カミーユのために軍を裏切り、その結果、銃で撃たれて劇場版だと死んでしまいます。(アニメ版だと生存)
※わかりやすいように少しセリフは変えています。
はい。長かったのですがここからが重要!
スーパービジョンの話です。
スーパービジョンは、答えを教えるのではなく自分で課題に気が付かせるのが重要です。
カミーユの課題は「自分の名前が嫌いなことからくるコンプレックス。そこから生じる未熟、不安定さ」でした。
カミーユは名前を失った少女フォウとの関わりから自分の名前が好き、と言えるようになります。
コンプレックスも未熟さもなくなり成長します。
実際この後のカミーユは見違えるように大人になり、ガンダム史上最高の「ニュータイプ」と呼ばれる特別な存在にまで成長します。
フォウのスーパービジョンによってカミーユは自らの課題を解決することができました。
注目すべきは、フォウのスーパービジョンの技術です。ポイントは
①カミーユはフォウに対して信頼があります。短時間で信頼関係を築いたフォウの技術は高いしスーパービジョンの基本は「信頼関係」です。
フォウのほうがカミーユよりちょっと年上なので信頼関係ができやすかったかもしれません。
②太字を見ていただくとわかるのですが、フォウは最低限の短い言葉で話し、カミーユに多く話させています。
これはバイスティックの7原則「意図的な感情表出」です。
③フォウはカミーユに「何故だと思う?」と聞かれて「何故?」とそのまま返しています。反復は相手が理解してもらっていると感じるので有効です。
④フォウは「そうだよね」といった同調もしません。安易に同調しない。これはスーパービジョンをするうえでの大切な注意点です。
⑤フォウはここで自分の話をすることもありません。「私なんて名前すら失っているんだよ。」とか。
「自分は名前がないのにカミーユには名前があるんだからいいじゃん。」というのは正論で、スーパービジョンで正論使うと相手の心に響きません。
これらの技術を適切に使ったスーパービジョンの結果、カミーユ・ビダンは自身が持つ課題を克服し成長できました。
フォウは対人援助技術も強化されたのでは?と思えるくらいスーパービジョンができています。
一つ残念なのは、カミーユとフォウが正対してしまっていること。
しかしこれはサイコガンダムのコックピットに中で狭いので仕方ないのですが正対せず理想は90度で座るほうが圧迫感がなくてよいです。
アニメなので、実話ではなく予定調和ではありますが、それにしてもこのスーパービジョンのお手本みたいな会話を、なんと40年も前に考えた富野由悠季監督はすごすぎます!
ちなみにこの後、前作の機動戦士ガンダムの主人公アムロは、フォウのことを考えて間誤付くカミーユに「人の善意を無視する奴は一生苦しむぞ。」と言いカミーユの背中を押しますが、この言葉は私が何かの判断に悩んだときによく思い出す言葉です。ガンダムは私たちにいろいろなことを教えてくれます。
スーパービジョンに絡めたとはいえまさか仕事のブログで延々とガンダムの話を書くとは思わなかったのですが、書いていて面白かった!(なんと午前3時前!!)
ガンダム知らない人ばかりと思われ「何言ってるの?」と思われるかもしれませんがスーパービジョンの一部、ご理解いただけたでしょうか...?
映画とか小説とかでもスーパービジョンが使われている会話は結構ありそうですね。
注意してみてみようかと思います。
まじめな話ですが、主任ケアマネ研修のスーパービジョンの話、すごく面白いです。
自分としてはよくやったと思えて提出した事例を、参加者にスーパーバイズしてもらったら全然違うやり方があったと思うことに気が付きました。
スーパーバイザーといっても研修の参加者なので緊張しているし上手くはないはずなんです。
しかも私は2回目なので私よりうまくない可能性がある参加者(失礼)でしたが、それでもいろいろ課題に気が付かされました。
私は管理者として14年間も働いていて指導歴は長いですが、自分の指導は全然未熟だったと思わされています。
2月の残り1回も楽しみです!
最後に、私はそんなにガンダムオタクではありません!もう大人なので。
文:池端祥一郎
調布 三鷹 狛江 東京 求人 ケアマネ 介護支援専門員