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そうか君はもういないのか

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そうか君はもういないのか

そうか君はもういないのか

2026/05/20

こんにちは。

城山三郎の小説みたいなタイトルで始めてみました。

 

先日、2026年FIFAワールドカップのNHKのテーマ曲が発表されました。

米津玄師の「烏(からす)」という曲です。

私はその曲を一人で車を運転しているときに聞いたのですが、不覚にも涙が出そうになりました。

ワールドカップのテーマ曲を聞いてなぜ?と思われるかもしれませんが、

聞いた瞬間、けがのため代表に落選してしまった三苫薫選手の顔が浮かんだからです。

 

曲の「烏(カラス)」はおそらくは本当は日本代表の象徴のヤタガラスだと思うのですが、

以前友人が川崎市でカラスをイメージした商品を販売していて、「カラス」→「川崎」→「フロンターレ」→「日本代表」→「三苫選手」→「落選して悲しい」と連想してそうなったのだと思います。

胸が締め付けられました。

 

サッカー日本代表にはいくつかの伝説的な場面があります。

 

「ドーハの悲劇」1993年、予選のイラク戦ロスタイムに失点しワールドカップ初出場の夢が破れた。

「マイアミの奇跡」1996年アトランタオリンピックでドリームチームと言われたブラジル代表を倒した。

「ジョホールバルの歓喜」1997年、アジア第三代表決定戦でイラン代表を破り悲願のワールドカップ初出場を決めた。

「ロストフの14秒」2018年ロシア大会決勝T1回戦、優勝候補ベルギーの前に善戦するも、14秒の高速カウンターアタックで敗退してしまった。

 

こんな感じでドーハとか「地名」+悲劇みたいな「出来事」が合体し「ドーハの悲劇」のように日本代表の伝説的な場面に印象的な名称がつくことがありました。

 

4年前のカタール大会の予選リーグのスペイン戦、三苫選手がゴールラインぎりぎりで折り返したアシストからの得点が決勝点になり強豪スペインを破った出来事は 「三苫の1ミリ」 と名付けられています。

三苫選手は左サイドからひたすらドリブルを仕掛け、その場面も懸命にボールを折り返し田中碧選手が押し込みました。

このプレーはオフサイドの判定の可能性があり、この大会から用いられるようになったVAR(ビデオ判定)が使われました。

2分33秒もかけて審議され、折り返した瞬間1.8mmゴールラインに残っていることが証明されました。

 

VARがない時代、サッカーの判定は強豪国に有利に働くことが多くありました。

商業的に決勝Tで戦うのが弱小国VS弱小国より、イタリアVSドイツみたいな強豪国同士が戦うほうが試合が面白くなるのは必至だからです。

 

ちなみにもし三苫の1ミリがなかったら日本はせっかく予選リーグの初戦で強豪ドイツを破ったのに、スペインと引き分けでは得失点差で決勝トーナメントに行けなくなるところでした。

それでは何年かに1回ある1リーグ敗退です。

ドイツを破った奇跡の大会は記憶に残りますが、日本代表のいつもの景色です。

 

三苫の1ミリがあったからで強豪ドイツ・スペインを破って予選Lを1位で突破しました。

決勝トーナメントでは最終的に3位になる前回大会準優勝のクロアチアと互角の戦いをしたというサッカーファンは胸が熱い戦いをしたカタール大会の日本代表でした。

左サイドで三苫選手がボールを持った時のワクワク感は、かつてどの日本代表選手にも感じたことはない独特の高揚感がありました。

今年のワールドカップでも三苫選手の活躍が観られる!という期待感は、いつもなら気だるい5月の毎日を楽しくさせてくれていたのに、

日本代表発表のわずか1週間前の試合の怪我で三苫選手は落選となってしまいました。

 

どんなに偉大だった選手でも、選手の名前が付いた出来事はありませんでした。

釜本のシュートも、カズダンスも、中田英の仰向けも、本田のフリーキックも、伝説的な場面では有ったけれども「三苫の1ミリ」みたいな印象的な出来事には昇華していません。

世界最高峰イングランドプレミアリーグのブライトンで、日々激しい生存競争に勝ち抜いて世界的に評価されてきた異才、三苫選手がTV(あるいは観覧席)でワールドカップを見ることになるなんて...。

本人の無念はいかほどのものか想像もできませんが、私たちファンは悲しいです。

 

それでも今大会の日本代表は三苫選手がいなくてもとても強いと思います。

4年前の選手もみんな積み上げてきました。

遠藤選手のようなけがをしている選手もいます。

南野選手もけがで落選したし、守田選手も落選してしまった。

それでもきっと過去のどの大会より強い代表です。

親善試合とはいえ半年の間にブラジル、イングランドを撃破しました。

 

そうか三苫はもういないのか...。

 

三苫選手がいないのは痛い。

例えるならば、お寿司にワサビが入ってないくらい。もっと?

タキシードを着たのにネクタイがないくらい?

「外れるのはカズ、三浦和」より痛い感じがする。

オシム監督が病気で退任してしまったくらい?

イタリアが3大会連続でワールドカップに出れないくらい?

自問自答して自分でもわからないですが、とにかく何か重要なピースが足りなくなってしまった感じが今回ばかりは始まる前にしています。

 

職場がある調布で考えるとFC東京の長友選手が代表入りできたことは良かった!

5回目の偉業を達成した彼は日本の精神的な支柱になってくれるでしょう。

町田の相馬勇紀選手も調布の高校なので応援していたし、好きな選手なので落選は残念。

三苫選手がいないなら彼がより必要だと思うのですが...。

考えたって仕方ない。6月11日にワールドカップは始まります。

 

それにしても、米津玄師の「烏」いい曲です。

歌詞の「星の名前を知るたび 僕らは大人になった」というのは敗北や失敗で思わず天を仰いで、その時に夜空の星を見て名前を憶えた、敗北を知って大人になった、という意味だと思うんですが、日本代表もほかの国のチームも、勝つことだけがすべてじゃなくて、負けたことも、負けた姿も含めてすばらしいワールドカップというイベントです。

きっとこの曲に乗せて、日本代表の新しい景色が見られると思います。

米津玄師、いつも素晴らしい曲をありがとう!!と言いたいです。

 

文:池端祥一郎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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